職員の絆と感謝
院長 青山弘彦
毎年春の訪れとともに、宿命的に職員の何人かは辞め、代わりに新しい人が入ってくる。
多くの古い職員は貴重な存在だ。多少動きが衰えてもさらに長く勤めてもらいたい。体力的に限界といわれると無理に「それでも」とは言い難いときもある。個人的な希望もあるだろうし、院長といえども個人の人生観に入り込む権利はない。
基本的には、働けるうちは勤めてもらいたいと思っている。そんな中、長いこと働き、現在も勤めていてくれる職員には心から感謝している。なにしろ、たった一度しかない貴重な「人生の大半を青山病院のために」尽くしてくれたという一事を思うにつけ、ただ感謝あるのみである。
長く勤めている職員とは以心伝心で、まさに「ア・ウン」の呼吸で通じ合えることも多い。言葉で言わなくても互いに信頼でき、誠実に応えてくれる。まさに病院の宝である。どの職員もすべて必要な人材であり、家族のような存在であると思っている。
数年前から当院には「青鍵会(せいけんかい)」という退職者の会があり、元看護師長だった方が中心となり、年に一度、皆に声をかけてくれて集いを持っている。食事会と初代院長を祀っている仏壇へのお参りをしてくれ、楽しい一時を過ごすのが通例になっている。何十年ぶりに会う懐かしい顔・顔・かおである。退職後もみんなそれぞれに道を歩んでおり、本当に楽しいオールド同窓会である。これも初代院長の青山鍵夫の徳によるものであろう。
今年は3回目であり、前回の集まりで「青鍵会」の名称も正式に決まった。
一昨年は、30名近くが集まって昼食をし、仏壇にお参りをしてくれた後、懐かしい思い出話に花が咲いた。我が家の新築以来、最高に多いお客さんであった。居間の椅子はおろか床にも座りきれず、廊下に座っていた人もいた。遠くは熊本・千葉県から一泊しての参加者もあった。今でも病院に思いを持っていてくれることはありがたい事である。
全員で再会を約し、名残尽きない中をそれぞれの場所に帰っていった。
あとには家族三人が残されたが、遅くまで昔の思い出に至福の時を過ごした。初代院長「慶徳院大応鍵明居士」の遺徳を大切に未来に繋いでゆかねばと再認識した日でもあった。